ストレッチの罠
今のスポーツ業界で最も変革が起きているのが、「準備体操」と「終了時の整理体操」です。
一昔前は、準備体操と言えばストレッチをしていました。
ストレッチは、硬くなって動かない筋肉を伸ばして緩める動作です。
筋肉の性質上、緩めてしまうと収縮が起きづらくなります。
つまり、ストレッチをすると、筋肉が緩んではいるけれどもパフォーマンスが落ちることになります。
それはスポーツ選手にとっては致命的ですね。
動的なストレッチ
一方、最近の傾向で始まっているのは、筋肉を緩めながらも、動ける状態にする動作です。
かつてのストレッチが「静的なストレッチ」ならば、今は「動的なストレッチ」とでも呼べるでしょう。
動的なストレッチでは、筋肉の収縮と弛緩を同時に短時間で行います。
身体が温まり、神経伝達は早くなります。
筋肉は緩み、同時に伸ばされています。
収縮するための一環として伸ばしているので、身体がお休みモードになりません。
武術的なウォーミングアップ
この考え方にとても相性が良いのが、武術的なウォーミングアップである「スワイショウ」です。
スワイショウとは、手を色々な方向に動かしながら力を抜いて打つ動作です。
全身を緩ませることにつながります。
この動作に習熟していくと、身体を緩ませる意味がだんだんわかってきます。
しかも、疲れません。
力を入れずに動かすからです。
この身体の使い方ができると、全ての関節を自分でコントロールできるようになっていきます。
たとえばバレーボールやテニスのようなヒッティングスポーツでも、ものを打つ時のエネルギーの通し方などがより深く体得できるでしょう。
身体に無理なく、疲れず、エネルギーがより良く通り、パフォーマンスアップもできる。
現代スポーツに武術的な身体操作を取り入れることの可能性は無限大ですね。